朗読劇「星降る街」感想(ネタバレあり)

朗読劇「星降る街」感想(ネタバレあり)

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どーも。だつしゃちです。
今回はオンライン配信の朗読劇「星降る街」を観劇したのでその感想です。

こちらはネタバレ有りです!

公演情報やネタバレなしはこちらをご覧ください

 

www.datushachi.com

 

感想

まずプロローグですが、最初の「昔話をしよう。」の一声だけですっと物語に引き込まれました。

複数の公演観ましたが、どの公演も語りの方が素晴らしかったです。 

その後は洋平・真央・裕人のセリフでこの後の展開にワクワクさせられました。

あと詩織と和彦のやり取りはほほえましかったですね。

 

第一部は鬼ごっこからから始まるのですが、ここからところどころ違和感を感じ始めます。

まず、鬼が洋平だったはずなのに、途中から鬼が和彦に変わっていて初見で「あれっ?」となりました。

他にも崖から落ちそうになった洋平を和彦が助けたときに、

「御神木が助けてくれたのかな」という旨のセリフがありますが、

「なんで急に神の話?」となりましたね。

そして、裕人が記憶を失って話が動き出します。

何が起きたんだろうと不思議に思うとともに、さらに違和感が積み重なっていきます。

裕人を病院につれていく際に、執拗に詩織を連れて行こうとする真央。

そして「明日も泊って行けよ」と意味ありげな雰囲気で言う洋平。

 

その後は一旦は5人で遊ぶ平和な光景が続きますが、

クレープ屋のおじさんとの会話で雰囲気が不穏に。

それに続く洋平の記憶喪失から図書館のシーンまでは非常にスピード感があり良かったです。

墓地のシーンでいったんスピードは落ち着きますが、

引き続き緊迫した雰囲気で話が続き、そして、記憶喪失の理由が明らかに!

ここで違和感の理由がはっきりします。

 

続く第二部で、第一部のシーンを別の視点で振り返っていく中で、

今まで感じていた違和感がきれいに解消されていく感じが非常に爽快でした。

ごっこのシーンは和彦が鬼だから避けたわけではなく、亡くなっているはずだから驚いていたんですね。

洋平も本来亡くなっているはずの和彦に助けられたら、御神木のことを考えてもおかしくないですよね。

このとき、「不思議なことが起きたら、どうする?」と問われて、

洋平は「一つ一つ受け入れていくしかない」と答えていますが、まさにその時の状況そのものだったんですね。

他にも第二部では出てきませんが「明日も泊って行けよ」という洋平のセリフ。

和彦が亡くなっている事実を知ってからこのセリフを聞くと、それだけで泣きそうになります。

和彦と洋平の友情ももっと描いてほしいと思わせる非常に素敵なシーンでした。

 

第三部はいよいよクライマックス。

詩織と和彦が会話を始めた時点でその後の展開が分かって目がうるうるしだします。

会話が進んでいくにつれて涙がどんどんあふれてきます。

消灯式ではもう号泣です。

そして最後の詩織の「和彦が大好き!」でさらにやられました。

本当に感動しました。

 

最後の語りの「今夜も、この街には、星が降る。」も最高でした。

物語の余韻を感じさせたまま、しっとりと締めてくれましたね。

セリフもさることながら台本をそっと閉じるところも良かったです。

 

いやぁ本当にいい作品でした。

今回、語りの方が非常に重要な位置にいましたが、

語りとしても御神木としても、非常に素敵でした。

最初と最後のセリフは上で述べた通り、一気に物語に引き込み、

余韻を残したまま締めてくれて本当に最高でした。

御神木としても、「人間は邪魔だ。」といいつつ、

こどもたちがくることを嬉しそうに語り、その成長を優しく見守り、

来なくなると寂しそうにする姿がまた感動しました。 

 

 

気になった点

・念仏を唱える人

和彦がすでに亡くなっている事実を知っていれば、念仏を唱える理由はわかりますよね。

ただ、1つ気になるのは、この人は和彦の記憶があったのか、それとも霊のようなものというのを認識していたのでしょうか。

クレープ屋のおじさんなどは記憶に残っていないこと、

記憶を失う条件が和彦に対する後悔が消えることだとすれば、

念仏を唱えていた人は何か和彦に対する後悔を抱えていたのでしょうか。

そうであれば和彦が知っているはずですよね?

細かいところですが気になりました。ただの霊が見える系の人だったのでしょうか。

 

・真央の和彦に対する後悔とは?

裕人→もう一度和彦と話したかった

洋平→こどものときみたいにみんなで遊びたかった

詩織→気持ちを伝えたかった

この3人はわかりやすいのですが、真央だけはっきりと述べられていないんですよね。

「何があっても仲間だよ。そう安心してもらいたかっただけ。」

というセリフはありますが、なんかふわっとしていますよね。

しかもそれを詩織に対して言っているだけなので、それで和彦に対する後悔が消えるのでしょうか。

そこで真央が消える直前の詩織のセリフを確認すると

「私たちね、まだ付き合ってなかった。その日に和彦死んじゃったから。」

と言っています。

そのため、「『まだ』付き合ってなかった」と「『その日』に和彦死んじゃったから。」

の部分が真央の後悔が消える原因だったのではないかと考えています。

『』の部分で詩織と和彦の二人がお互いの気持ちを確認していたことは想像がつきます。

そこから、真央の後悔というのは和彦に対する恋心に関係するものであり、

詩織の言葉を聞いて失恋したことで後悔が消えたのではないでしょうか。

実際はどうだかわかりませんが、

パンフレットの山口立花子さんのページで

「真央は真央で、和彦のことが大事」ともあるので、

私の中ではこの説が有力です。

他の方がどんな解釈をしているかも気になりますね。

 

・詩織と和彦の名前、そして詩織の今後は

このお話は七夕のお話ですが、

詩織と和彦の名前、そして奇跡による再開は織姫と彦星のお話をなぞっていました。

織姫と彦星は天の川をはさんで別れ別れになり、年に1度七夕だけ会うことを許されています。

星ノ沢では天の川は三途の川、生と死の境界ということで、

詩織と和彦も織姫と彦星同様、天の川(三途の川)をはさんで別れ別れになり、七夕に再開できたのです。

では詩織の今後はどうなるのでしょうか。

織姫と彦星は毎年七夕に会えますが、

詩織は今後も七夕に和彦に会うことはできるのでしょうか。

私個人の考え、そして希望としては、もう会えないと思います。

今回詩織が和彦に会えたのは御神木が「古の力」を使ったからだと思いますが、

その御神木は太鼓の音を子守唄に眠ってしまったからです。

また、流れ星が願い事をかなえてくれるのは人生で1度きりと言っていましたしね。

それに、毎年会えたらそれはそれでバッドエンドじゃないでしょうか。

すでに和彦は亡くなっているのに、故人にずっと囚われ続ける詩織。可哀そうです。

なので、個人的にはもう会うことはできないと思います。

でも、会えなくても、きっとそばにいてくれるはずです。

だってずっと一緒にいると約束したのですから。

 

 

最後に

今回は朗読劇「星降る街」の感想でした!

とても素晴らしい作品でした。

パンフレットに記載ありましたが、もともとは劇場公演だったこの朗読劇、

是非劇場でも見てみたいですよね!今度は劇場で再演していただきたいです!

出演者によって雰囲気が変わるので、今回と違った役者が加わることで、

また新しい「星降る街」を観られることを期待しています!


では今回はこの辺で。